藤岡陽子さんを囲む会を終えて!
作家さんを囲む会、第二回目は、藤岡陽子さんをお招きして開催しました。
藤岡陽子さんは「海路」・「いつまでも白い羽根」・「トライアウト」が、
代表作なのですが、登場人物には、いつも実在のモデルがいるというところに、多くの読者が驚かれました。
「海路」に登場する医師は、一緒に働いておられた医師がモデルらしく、自分のすべきことは何なのか?常に医師としての役割を考えておられる。その生き方に感動し書きたいと思ったと話されてました。
「いつまでも白い羽根」、は、ご自身の看護学校での話を元に小説にされたそうで、実在のモデルがいて、医療の現場を垣間見ることのできるリアリティがある小説ですが、波多野先生のことでは、「あそこまで書いてしまって大丈夫と友人に言われ、同窓会の返事に不参加と書いた・・・」なんて話され・・・会場は、爆笑の渦に包まれました。
また、現在、看護師をしながら執筆活動をされているということで「看護師をしながらの作家活動は、大変なのではなのですか?」という質問も多かったです。
それに対し、藤岡陽子さんは、「両立させたい」とおしゃってました。
タンザニアに行かれた動機や、なぜ看護師になられたか?等の質問のあと
新聞社をやめるきっかけとなったある日の出来事についてお聞きしました。
立命館大学のアメリカンフットボールのクウオーターバックの東野君。天才クウオーターバックの東野君を取材に行けと言われ、行ったところ東野君から、「今日の自分があるのは、いつも練習相手をしてくれている先輩のおかげなんです。自分が入ったためにレギュラーからは、外れてしまったのですが、その先輩がいなければ今の自分はありえない。自分にとって恩師であり一番なので先輩を取材して下さい。」と言われ、その先輩を取材したところ、すごくいい子で、その子がいなかったら東野君がここまでなれなかったであろう、書きたいという気持ちになられたそうです。
デスクに記事を渡すとすごく怒られて「何を書いているんや!ここは、東野やろ!東野を書かなあかんやないか!」と言われ、「何で名前も知られていない子メインで書くんや」と叱られたそうです。その時、スポーツ新聞の記者の仕事ではヒーローしか書けない。ヒーローや強い選手も夢や勇気を与えるけれども自分はその先輩を書きたかった、そうじゃない人も書きたい!スポーツ新聞ではそれは書けないと思いやめることを決意されたそうです。
読者と書き手が、活発に議論する光景や、書き手のこれまでの並々ならぬ努力や小説への思い、ひいては、書き手の人柄までをも、質疑応答の中で知ることが出来ました。
大阪文学学校時代の先生が来られ、「藤岡陽子さんは、人柄も優しいし、書いているものも優しい、文学学校時代は、その優しさが小説の中の一つの弱さだという批評もあったが、その優しさが実ったのが「いつまでも白い羽根」だ」と話され、「人間関係が索漠としているこんな時代にああいう小説こそ値打ちのある小説だ」と話されました。
沢山の質問に答えられているうちに、会場の読者と書き手に絆ができ、心が、ひとつになっていくように感じました。
藤岡陽子さんは、会の最後に感極まり、涙しておられました。
そんな姿に、また、胸をうち、人と人との繋がりを改めて大切にしたいと感じました。
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